LDからDVDへの移行...

【はじめに】

 1997年に発表されたDVDですが、当時はプレーヤーも高価で一部のマニアだけのメディアでした。しかし、3000円台の低価格ソフトが発売され、プレーヤーも高級CDプレーヤー並(廉価タイプのLDと同程度)の値段まで下がり、ソフトのラインナップも増えた上、一部のレンタルビデオショップでもDVDが借りられる様になった昨今、LDとDVDが同時リリースされる場合、本当にDVDの方が良いのかというのを私なりに考えてみました。
 

【DVDの魅力】

 DVDは高画質でマルチアングルであったり、マルチオーディオやメニューが有るほか、コンパクトで取り扱いが楽などLDには無い魅力が掲げられていました。以下ではそれぞれについて本当に魅力的なのか?本当に有効なのか比べてみました。
 

【DVDは高画質?】

 DVDはMPEGという圧縮方式を用いて動画を圧縮し記録しています。その転送レートは最大10Mbps(bit/sec)の転送速度になっています。実際には音声もあるし、常に最大転送量だと記録時間が短くなるため、通常は8Mbps程度でしかも動的可変レートが採用されています。さて、この転送レートですがこれで本当に高画質と言えるのでしょうか?
 一般的な映画の場合は多分これで問題になるケースは少ないと思います。が、私の良く見るとアニメになると話は別です。アニメーションというのは線で囲まれた原画にベタの色が塗られている場合が多いです。つまり、エッジが結構シャープなのです。シャープという事は高周波成分が多く、圧縮には辛いものになります。しかも、通常2フレーム毎(極端な時は1フレーム毎)にまったく違う映像に切り替わる場合があります。これは、フレーム間圧縮を行うMPEGには非常に辛いものです。逆にベタなどの均一の領域が多いと圧縮に有利という点も有ります。つまり、アニメーションはMPEGにとって有利な点と不利な点をあわせもっている画像だという事です。
 さて、能書きはこれくらいにして実際の映像ではどうなのか見てみる事にしましょう。と言っても私がDVDとLDの両メディアを持っているのはエヴァンゲリオンだけでそれ以外はDVDかLDのどちらかしか持っていません。従って厳密に見比べる事は不可能なのですが、まぁDVDだけ見て満足出来るかどうかで判断していく事にしましょう。
 

■天地無用!魎皇鬼

 「天の巻」「地の巻」「無の巻」「用の巻」「!の巻」の5枚で構成されるOVAシリーズで全13話構成となっている。
 オープニングが非常に凝った絵をしており、バックが細かい模様で動いているため、キャラクター部の絵までその影響を受けてとても汚い。MPEG独特のブロック状のゴミの様なものが多数見受けられ見れたもんでは無い。本編の方はそれほどひどく無いが、何しろとっかかりであるオープニングであれでは熱も冷めるというもの。もうすこし、パイオニアには気遣って欲しかったですね。
 

■アミテージ・ザ・サード

 3話構成のOVAを1枚に収録したもの。非常に綺麗な絵で、色のりも良い。特に主人公アミテージの着ている赤いパンツがDVDらしく綺麗な発色をしている。LDを見たわけでは無いけれど、LDやビデオといったアナログ系ではどうもベタ赤やベタ青が苦手らしく、どうしてもノイズっぽくなるがそこのところがDVDではクリアな赤や青が出るのでこの作品ではその良さが出た様です。また、速い動きでも全然MPEGノイズは気になりませんでした。
 

■吸血姫美夕

 4話話構成のOVAを1枚に収録したもの。固定レートで記録されており、非常に綺麗。全体的に速い動きが少ないため、DVDの欠点が出にくい作品ではある。
 

■聖ルミナス女学園

 TVシリーズ13話を計6枚に収録したもの。作品が全体的に甘いフォーカスとなっているのでDVDに適した絵と言えよう。特に気になるような所は無かった。DVDメニューから脚本が読める珍しい作品でも有る。
 

■カウボーイビバップ

 テレビ東京系で一部放映、そしてWOWOWで全話放映されるという異例のTV作品。スピード感が有り、シャープな絵の為、DVDにとってキツイ素材だと思われるが、特に気になる点が無かったのには感心した。
 

■ToHeart

 地方UHF系で放映されたTVシリーズ。動きが激しくなく、全体的にホワッとした絵のせいか特に気になる点は無かった。(知人は一部汚い所が有るというが私は全然気にならなかった)vol.1だけしか見ていないので第2巻以降は違うかも知れないが、第1巻に限って言えばDVDメニューが無いのはちょっと不満。
 

■星界の紋章

 WOWOWで放映されたTVシリーズ。元々WOWOWで見ていた為、それ(DVで保存していた物)との比較になるが放送分と比べて特に綺麗とも汚いとも感じませんでした。つまり、WOWOWのDV録画とDVDがほぼ同一という事はDVDのメリットが無い様な...まぁ、DVよりハンドリングは良いし、メニューや特典映像なんかも有るので、ファンとしては持っていたいでしょうけどね。(^^;
 

■エヴァンゲリオン

 多分、この作品がアニメDVDの火付け役では無いだろうか?製作側としてもアニメファンの目に応えられるようかなり努力された様だが、やはりMPEG時間軸圧縮は辛いのか若干ブロックノイズが見受けられる。が、動きが多いこの作品と初期に発売された事(つまり経験不足)を考えると良くこの程度に抑えたと評価したい。メニューもしっかり付いているし、シナリオなどもDVDのメリットとして生きている。
 

■王立宇宙軍

 ガイナックスが初期に作り出した男のロマン的作品でロケットの発射シーンは必見物。音声もDVDの特徴であるマルチオーディオを利用して、オリジナル音声・ドルビーデジタル音声とあり、特にドルビーデジタルは迫力満点。動画も特に気になる点は無くとてもクリアで発色良く音に負けていない。
 
  他にもいくつかの作品を見たが、だいたい同じ傾向だったので割愛したい。残念ながらアニメではDVDのもう一つの特徴であるマルチアングルが無いがこれは仕方無いだろう。マルチアングルを使ったものとしてSMAPのライブ版『Su』が有るが、これなどはマルチアングルを上手く利用したものだと思われる。但し、収録がそのアングル分だけ多くなるのですべての曲でマルチアングルなのではなく、2曲だけなのが残念ではあるが...
 

■DVDの○と×

 それでは、DVDの魅力と欠点について考えてみよう。まず、魅力の方だがこれは何と言ってもコンパクトでハンドリングが手軽な事。そして、長時間再生出来る為LDの様に30分または1時間毎に面の切り替えやメディアの入れ替えといった事が不要の為、最後まで作品に没頭出来るという事。また、マルチオーディオによって日本語・英語・ドルビーデジタルといった複数の音声が選択できるというのも大きな魅力だ。特に洋画の場合は家族で見るときは日本語吹き替え版、そしてオリジナルが聞きたければオリジナルを選べば良いわけだ。これが、LDではそうはいかない。LDでは日本語と英語の両方を収録する場合は片方はデジタル、もう片方はアナログ音声になってしまうし、ドルビーデジタルだと音声トラック1本を余分に使用するため、結局3タイプの収録が出来なくなってしまい、ドルビーデジタルか日本語かどちらかを諦める必要が有った。あと、静止画としてシナリオや設定資料などが入っている場合も有る。
 では欠点は?というとまず、MPEGノイズによる画質劣化が挙げられるだろう。それから、パッケージが2タイプあり(縦長タイプはメディアの取り出しがし難く気を付けないとメディアにヒビを入れてしまうことが有るので要注意)収納しにくい。しかも、どちらも小さいのでパッケージにあまり魅力を感じない。また、LDだとジャケットサイズのピンナップが入っていたりするわけだが、DVDではそれが無かったり折りたたまれて入っていたりするが、やはり折れ目が有るのは嫌ですよね。
 

■まとめ

 長々と書いてしまいましたが、ここまで読んで頂いた方には感謝致します。まとめてみると、DVDだから悪いという部分は非常に少ないと思います。つまり、『天地無用!魎皇鬼』を除いて他の作品は総じて合格ラインをクリアしていると思いますが、『天地無用!魎皇鬼』が酷い状態だっただけに個人的にはDVDの魅力は半減してしまいました。LDで絵が汚いというのはあまり無かっただけにDVDでは見てみるまで判らないという不安材料ありどうしても安心して買う事が出来ないのです。それと、ピンナップやライナーノーツ等はやはりLDの方が大きく折れ目もないなどLDの魅力も捨てきれません。という事、で私個人的にはLDとDVDの両方発売ならまだLDの方かな?なんて思っています。が、世の中はDVDがメインになりつつあるのでいつまでそんな事を言っていられるか判りませんけど。あと、MPEG特有のブロックノイズが気になる元凶なのですが、このノイズを見慣れる事により気にならなくなるかも知れないし...
 
あなたはいかがですか?

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1999.09.18 / text by loose@aic.gr.jp

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